公務員の心得三ケ条というものがあるそうだ。私も3月末で定年退職となるが、準公務員である。思い当たる節もある。これは読み終えた小説の中に書かれていた内容である。(「ハロワ!」久保寺健彦著 集英社刊) ハロワとはハローワークの略で公共職業安定所の愛称であることはご存知のことと思われる。小説ではハロワが舞台であるので、私達の会社が舞台となっている。ところが公務員であるから一律同じ紹介の形態と思っていたが、どうも違いがあるようである。
私の場合入社時の研修では個人情報の漏洩への注意や守秘義務の指導を受けたが、この小説の中で先輩や上司から直接指導されている「傾聴」や「同意」「開示」については特別な指導は無かったように思う。
その中で公務員の守秘義務は当然であり、公務員に限らず会社の人事労務は日常として個人情報に触れており、経理にしても機密情報も知り得る立場である。ここでは公務員の流儀として心得三か条を上げている。
1.確約するな
2.言質をとられるな
3.立場を踏み越えるな
云われていることは、世間一般にお役所仕事とか、お役人の言葉に代表されることを要約しているようである。私はこのようなことを直接指導されたことは無いが、言われてみれば尤もなことである。
紹介に当って「採用が保障されている」とか、「多分大丈夫でしょう」とか、「私が変わって当たってみましょう」とかは担当者としては禁句である。経験則的に分かってくる。
求職者としては不満かも知れないが分をわきまえなければ、危ういこととなる。まして個別相談では、思い入れもあり、同僚スタッフでも熱心さが高じて時間管理が出来ない人も見受けられるようである。逆に私はそれを冷静に見ているということは、お役人に染まってしまったのかも知れない。