国威発揚のオリンピックでは、勝つことを定められて逆にそれがプレッシャーとなって自滅し、自己ベストを出せずに敗退する選手を見かける。「参加することに意義がある」とか「楽しんで来い」と送り出しても一皮剥けば「そんな甘い気持ちでどうする」と言っているようでもある。
なでしこジャパンの女子サッカーも国民の期待を大いに背負っている。ところが先の南アフリカ戦では当初から予選リーグ2位狙いとのことで第一戦のカナダ戦とはメンバーを半数以上入れ替えて主力を温存した。全員一丸となる分には、控え選手の出場機会を与えることは結構なことである。しかし後半投入した川澄選手には「ゴールをするな」の監督命があったと報道されていた。全力を傾注した試合を見に来られたお客さんには誠に残念な結果だっただろう。結局は後半の日本はボール回しに終始してドローゲームの引き分けで、予選通過2位の目的は達成できたというものである。
勝負の駆け引きは当然有ることは承知している。現に今日のニュースではバトミントンで中国と韓国の選手が決勝トーナメントの進出を決めてその対戦相手をより有利にするために故意に順位を操作したものとして失格にするとの報が成されていた。そのまま当てはまらないかも知れないが、なでしこの2位狙いは極めてグレーに近いものと思われる。
私達は子供達に一戦一戦を大切に全力を傾注して戦うよう指導して来た。それを手を抜きなさいと言えるだろうか。まるでどこかの国の行政改革での「二番じゃダメなんですか?」を地で行っているようにも思えた。