仏壇の花立や香呂、ローソク立てを置いている板がある。仏壇の中でも痛みが酷いので気になっていた。毎日朝の花の水替え等は私の当番のようになっている。仏壇に参る前に花の水替えはいつものコースである。盆と正月前には、仏具の道具磨きをする。
普段は目にすることもないが、冒頭述べた板の損傷が他の仏具に比べて酷いのである。仏壇の洗いにかけた際に忘れていたのかなと思うぐらい、漆が取れて木の地肌が目に付く。
先日駅前の仏壇のHに立ち寄って、新品ではどれ程の額がするものか尋ねてみた。長さ90センチ、幅15センチで左右少し修飾した工芸がされている。市販では65センチ位しかなく、オーダー品で4,5万円位で、現品の持ち込み修理で3万円ほどすると言われて驚いてしまった。
もっと安価なものと思っていたのであるが、漆塗りや金箔を施すのでそれ位要すると言われれば、伝統工芸だから仕方が無いかなと思ってもみた。
土曜日に、同じ名前の船場のHさんに立ち寄って尋ねると2万円で出来るでしょうと言われ、明日にでも現物を持って来ますと店を出た。家内は母の7回忌を前にお盆までには直しておきたいらしく、同じ仏壇屋でも1万円も差があることに憤慨していた。夕方には明日と言わずに今日届けようと、一緒に持って出た。途中買い物の都合で裏から回り、話込んでいる際に仏壇の洗いを出した仏具屋さんが近くにあることを知り、丁度その前を通過している最中で、直ぐに行き過ぎてしまったが、ストップしてそのままバックして店の前に止まった。私自身はすっかりこの店のことを忘れていた。船場の仏具屋ということで、すっかりHさんと思い込んでいたようである。
先に下りて店に入っていた家内は、既に洗いに出したことなどを話しており、その現物の板も店主に渡しており、それを見て主人は、洗いの際にはキッチリしており漆も塗っているが、花立の水が零れ落ちたりして染込んでこのように漆が捲れて来ていると言われ、費用として5千円程度かかりますとのことである。
何ともまあ、金額の違いかと二人で顔を見合わせてしまった。ご自分で修理加工されるとのことであるが、3万円が6分の1の値段であるから驚きである。それこそ、お釈迦様でも気がつかなかったかも知れないが、仏壇を洗いに出した所が見つかり、そこで再び修理加工できる方がシックリ行って良いし、価格もこれ程違ってくるのであれば、願ったり叶ったりである。こんな良いことがあれば、仏に加護されていると思ってしまう。