香寺町から夢前町に抜けるには暮坂峠を越えるのが早い。近くの相坂トンネルを抜ける道もあるが、トンネル幅が狭く、車で2,3度通ったことがあるが、前を見て左右のサイドミラーを見ての最徐行で、神経をすり減らしての走行であったので、お勧めではない。
昨日会社の帰りに、所用でこの峠を越えて夢前町に出て、書写山の裾を流れる夢前川に沿って南下した。年末の紅葉時期に車で走った時と比べて、また景色は変わっていた。山間部の中を走るので、見通しは良くないが西日が大きな赤いオレンジの姿をこの山の中に沈めようとしていた。ハンドルを握って、峠の上に出れば日没の夕日を見れるかなと微かに期待していたが無理であった。
しかし谷あい越に見える山肌の木々は、冬の寂しい木立と違って、フワットした柔らかいネズミ色のような、薄いベールで山全体が浮かんで見えてくる。木立の芽が吹いて来て、山が笑っているのだろうか。夕日の残照が照らし出す春の山の景色を感じた。
カーブの多い峠であるが、その分すこしユックリ徐行して車窓から谷間の景色を眺められるが、春夏秋冬と同じ場所の景色もこの辺りまでは、開拓されておらず自然の姿を見せ付けてくれる。
峠を降りてからも、夢前川の左岸を南下しながら、書写山の奥深い北東の峰々にも春の息吹が感じられるようである。この時期は花粉アレルギーの人には迷惑な杉花粉の飛び交う頃であるが、大地は確実に春モードの装いが整って来ている感じであった。