13日の金曜日何も無ければ良いのにと思いながら出社した。別にキリスト信者でもないから、こだわる必要も無い。また仏教の信者だからと言って、仏滅に注意するわけでもない。しいて言えば仏滅に結婚式を避け、友引に葬式を避けるごく一般的な小市民である。だからと言って信者だと言われれば、そうとも思えるし、家に仏壇もあるが、お経の一つも読めずに灯明をつけ線香を上げて合掌する程度である。
午前中は何も無く、昼食後事務所で電話番をしていると外が賑やかであった。掃除のおばちゃんの良く通る声が聞こえていた。何事かと覗くと、S君が、おばちゃんの要望で、フェンスに上って桜の枯れ枝を折ろうとした際にすべり落ちて、足元のブロック片に左足の土踏まずを強打したようで、昼前のことだったようであるが、1時間程して腫れ上がってきたとのことである。
つい最近もシャッターで後頭部を打って負傷したが、今回も同様の不注意であった。早速病院へ連れて行くことにした。車に乗せてから、ひょっとしてと思い彼に聞いてみた。「君は、偏平足と違うか?」と尋ねると「そうやで」と変なことを尋ねると怪訝そうな顔をしていた。回りの者は足の裏が腫れているものと思っていたが、普通の人の足裏からすると、偏平足は窪んだところが数センチ肉が付いたようになる。
レントゲンの結果単なる打撲とのことで、湿布薬を貰って帰ってきた。骨に異常が無かったのが幸いで、昨年同じ足の小指を田圃で負傷して3ヶ月ほど入院欠勤したので、本人も骨が心配であった。
昼過ぎには、声を掛けたおばちゃんは定時で帰られたが、自宅へ電話して病院の結果を知らせて安心させようとした。それについては安堵しておられたが、直ぐに事務所に来られた。近くに住んでおられるのであるが、治療費を負担したいと強い要望である。会社での支払いをするからと拒んでも、会社やSさんに迷惑は掛けられないとのことで、結局押し切られてしまった。
このおばちゃんも、一昨晩の夢見で、今日は自重するように言われていたのだがと、帰り際につぶやいていた。「今日は13日の金曜日ですよ」と言うと、「そうだったのか、それで・・・」と後は何も言われずに、納得したように電動自転車で帰っていった。
結局アクシデントは起こった。帰りには、社長代行として、会社近くの料亭で1時間ほどの研修会があり、その後懇親会ということで、アルコールを一滴も飲まずに出席した。ウーロン茶で会席料理を食べたが、初めての経験である。車を運転しなければ通勤できない土地であるので、我慢をした。もっとも懇親会の相手は地元の警察署員であるので、油断大敵であるが、しかし彼らは良く飲んでいたが、帰りの足はどうするのだろうか。民間人注視の下であるから下手なことはしないだろうが。