以前に読んだ本の中に、「前味、中味、後味」という記述があった。これは料理の味付けを指すのではなく、良い印象を与えるお店の特長を表す言葉であり興味深く読んだ。
店先で、入ってみようかなあとの気持ちを起こさせるのが「前味」。建物の雰囲気や、ショーウインドウから見た店内のメニューや商品等が一寸立ち寄らせる雰囲気をかもし出しているかがポイントです。
店内に入ってからが「中味」。メニューや商品そのものがそれなりの価値感があるか。また店内のレイアウトや照明、ディスプレイ、それに大切なのが店員の応対があります。単にサービスだけでなく、接客態度が大きく店内で過ごす雰囲気を左右します。
「後味」は店の外に出て、「良かった。またいってみたい」という気にさせるものだそうです。このリピート客が、店を贔屓にし、口コミで伝播して更なるお客を呼び込むものだそうです。
ガソリンスタンドの従業員が、給油を終えて道路に出て立ち去って行く車に対して大きな会釈をしているのを見かけることがあります。これなどは、当のお客に対するお礼の意味よりも、回りの通行車両のドライバーに対してその店のサービスはこのように細やかにしていますよとのアピールに過ぎないことがわかります。これは、当のお客にとっては、「後味」であり、通行ドライバーには「前味」になるのでしょうか。
先日の香住の民宿「源六」は、20年振りに訪れた民宿で、「後味」が利いていたのかもしれません。一寸したサービスが思い出を残し、リピーターとなります。最近では、どちらもサービス過剰気味ですが、それはそれで結構なことではありますが、時と場所によっては、何もしないでソットしておくこともサービスであると感じてもらいたい時もある。