「会社では無いんだ。個人商店なんだ」と勝手な理由を自分ながらにつけることによって、事態をそのまま受け入れようとしている寛容さを自分ながら不思議に感じた。一つにはこの会社に対する諦めと共に自分だけのエゴ意識である。どうせ辞めるのだから後はどうなろうと勝手にどうぞという意識である。
連休後出社すると、処理しなければならない書類や郵送物が机の上に置かれてあった。そこへ会社宛に送られてきた贈答品も置いてある。お歳暮の記録を取っておくためである。そして問題となった有給休暇の届出書である。
先月28日の私と同じ日に、解雇通告を受けた従業員が退職日の12月27日までの有給休暇の残日数を消化するための届出が置いてあった。それを職制の上司に許可印をもらい、大阪にFAX送信後暫らくして電話があった。有給休暇を今月の給料閉め日以降の5日間は認められないとのことである。労働基準法からは有給休暇の残日数の消化は当然認められており、まして自己都合退職でなく解雇予告であるから当然予告手当ての支払いも考慮されて当然であるが、20日までしか認めないとのことである。当初は応対していたが、この人とは話しにならないと、製造のトップに電話を回した。
結局日付は20日付けとして別途名目はともかく保証金の支払いでと言うことで、退職日を20日付に変更となった。既に27日付で退職書類を先週には作成準備していたが、急遽変更となった。
私の杞憂から、部長にはこの会社は口約束の労務事項は油断なら無いと申し上げた。最悪この部長が事態収拾をしなければならないからである。大阪の上司など、違法と知りつつやれるものならやってみろと言わんばかりであるから、何度も進言しても聞く耳持たずで、私も嘱託契約の期間中の解雇に了承したのもこのような上司のもとでは何も改善が出来ないと判断したのである。
私がこれまで、会社の労働基準法違反の指摘を行なってきた事項は10を下らないが、全て無視である。もうこれ以上は言うだけ無駄と思い、冒頭の「会社は個人商店である」との思いである。同族経営とか言うものでなく、まだまだ経営者は人を消耗品としか思っていないようで、「使ってやっている」意識である。
不幸なのは残された従業員であるが、今日の経済情勢では転職すらできない状態であるが、いつまでも同じ状態が続くとは思われない。サービス残業を常々強いられている管理職も、自分ペースでの仕事中心になって来る事が予想される。何時の日にか委託生産の注文すらメーカーからもそっぽを見放されそうである。