朝夕冷え込んできたので黄葉のシーズンも近づいて来た。見た目には綺麗な落下した葉っぱの処理に市街地では清掃の方が大変であろう。また店舗前の清掃も係りの方が日課として掃き清めている光景を目にすることがある。
現在は都会住まいであれば通津浦々まで舗装されて土埃も立たなくなったので、家の前の清掃がなくなって来たようだ。昔は掃き寄せて水打ちまでして完了であったが、そんな光景は見なくなった。
家の前の境界のゴミを自分の方に取り込むことは常識で、少しは隣の家の前まで掃除し打ち水をした。用を言いつけられた子供は早く終えて遊びたがり、取り込むことをせずに、逆に隣家の方へ撒き散らして飛ぶように遊びに出かけたものである。
学校でも学年や学級別の掃除分担が決まったところでは、抜いた草やゴミを隣に撒き散らして騒ぎになったことを思い出した。
先般工場内の清掃を見てこのことを思い出した。エアーノズルで機械に溜まった埃や原料カスをシューと吹き飛ばしているのであるが、一方で床に向けて箒代わりにゴミを寄せているのである。面白いようにまとまっていくようだ。しかしチョッと考えてみれば誰でも分かることであるが、軽いゴミや埃を撒き散らしているだけで、それらが天井の桟や梁、エヤコン、機械の上に堆積して細菌の温床となっているのだ。
自分の箇所の掃除だけで終わって、他のことを省みないのは子供の掃除と同じだ。こんなことが多年繰り返して行われているので一向に工場衛生環境は良くならない。先般生産の朝礼でそのことを進言したところ、機械に付いた埃は吸い取れないとか、時間が無いとか、掃除機が足りないとか、あれこれネガティブな意見が出た。
昔大学を卒業後、窯業関係の会社に勤務した。そこではグラインダーを製造していたので塵肺等の労働衛生の知識が普及していて、吸引の設備が整っていた。丁度新工場建設と移転であったのでそれらは最新のものを使っていた。現在話題に上がるアスベストなどもこのような集塵機で対応して作業者を守っていたのだろう。
ところが食品の粉塵は有害で無いので、工場の埃については認識が甘いのであろう。それどころか、少々の黴菌が付いていても200度を超える温度で焼成するから菌は死滅するというのが作業者の認識だから質が悪い。
抜本的な改革は、まずこんなところからでも始めないと駄目だと思う。