イチロー選手が、大リーグのヒット数記録を塗り替えたことに、日本では新聞社が号外まで出して大喜びしている。当のイチロー選手の会見は、あくまで通過点とした様な淡々とした感じであった。
ご本人も「日米通算」という参考記録をそのまま喜んではおられない様である。抜き去ったローズ選手も、あくまで通算記録であって、大リーガー記録では無いと言っておられる。私はこの点に関しては、彼の指摘の方が冷静であると思っている。それより現地の大リーガーファンの方より、イチローに対して祝福して頂ける方が、もっと嬉しいことである。
恐らくアメリカ大リーグにしては、日本の野球はマイナークラスであろうと思われていたはずである。今回ローズ氏の言う、自分のマイナー時代分を加えて計算すれば良いというのも、その表れかもしれない。
もっと分かり易く言うと、今の国技たる大相撲に、時めくモンゴル出身力士達であるが、自国の相撲の勝ち数を持って、日本の大相撲界に入って、その勝ち数と合算するのと同じである。恐らく日本人の大半は容認しないであろう。それを大リーガーの観客は、認めて呉れたのである。私にはそのことの方が、今回のイチローの記録達成よりも、もっと大きな感動である。
日本でもプロ野球では一軍、二軍の壁があって、記録は通算されていない。アメリカも世界野球で日本のプロ野球の実力を知っており、これまでの野茂投手や今回のイチロー選手の侍が孤軍奮闘している。
同じ時代の同じ環境での対戦は難しいが、物の見方、判断の仕方を何もかも一緒に見てしまって、「参考記録」という括弧書きが、いつの間にか一人歩きしているようで、浮かれているのはマスコミとそれに扇動されたファンということであろう。反ってイチロー選手の会見の冷静さが、ローズ選手に敬意を払い、あくまで真摯に大リーグに向き合っている様に思われたのが救いである。
by kitamura1007
| 2016-06-17 09:17
| スポーツ
|
Comments(0)
|