昨日帰社時、会社近くの病院にタマちゃんの見舞いに行った。3月末に大阪へ単身赴任中、朝直営店に出店しないので、借り上げマンションの寮の部屋へ様子を見に行った同僚が倒れているのを見つけ、救急車で病院に運ばれ、頭部切開の緊急手術を行い、幸い命の方は助かった。
脳閉塞とかで、血栓のようなものだそうだ。病院の紹介で、6月からこちらに戻ってきたことを聞いていたので、是非会いに行きたかった。
病棟は聞いていたので、受付を通さず直接そちらに入って行き、エレベーターの前で待っていたら、直ぐ横はリハビリ室になっており、遠目に彼らしき後姿が見えた。もしやと思い、そちらに足を運んで様子を見ていた。
まさかリハビリをしているとは、誰からも聞いていなかったので驚いた。様子ではまだ車椅子からの移動も介助がいるようであり、時間がかかるようである。何かの訓練が終わった後だったようで、訓練生の女性スタッフが、声を掛けてくれたので状況を聞くことが出来た。良くなってきつつあるが、一人で生活するには時間を要するとのことだった。
次の訓練は、不自由な右手をテーブルの上に、コマをつけた板に乗せて、3分間前後に動かす訓練であった。ここから横に座って、簡単な手伝いをさせてもらいながら見守っていた。
次に、初めてだそうだが、車椅子から便所に入り、便器に座る練習である。リハビリ室の横には身障者用のトイレが作られていて、少し普通のものより広く感じた。そこへ連れて行き、椅子から支えを動く左手で持って、何とか便座に座ることが出来た。また立ち上がって、車椅子に乗り換えることをしたが、まだ片足で支えを持っての起き上がりは安定しておらず、大変だと思う。
当然現在は、オムツの状態であるが、パジャマのズボンを下ろす訓練も左手でしなければならず、時間がかかると思われる。
これで、訓練が終わり、6時からの夕食があるので部屋に戻ったが、今度は車椅子から、ベッドに戻る際にも、ベッドに座ってから、足を上げるのも、動く左足を、動かない右足の下に絡ませて、持ち上げるように指導されていた。
タマちゃんは器用に長い足を巻きつけてこなしていた。この時奥さんが戻ってこられ、様子を見守っていた。ベッドを起こせと、自分から奥さんに指示して、食事の体勢にしていた。
食事も全て、ゼリー状態のもので、気管支に入るのを予防しているとのことで、現に喉を開いているのか、時折ゼーゼーと音が聞こえた。お茶ですらゼリー状態にしており、粉末の薬も、その中に入れて、スプーンでゼリーの上に乗ったものを掬って飲んでいた。
左手で、6種類の容器のゼリー状態の食事を残すことなく食べるのを見届けてから戻った。
帰る際に、「タマちゃん!頑張れよ。あせらんと、ゆっくりな!」と大きな声をかけたら、うんうんと頭を振っていた。
彼は昔から、自分とは違って、大柄な大人の風格があり、柔らかな人当たりから人望もあり、早くから将来を嘱望され、労組委員長や会社役員も短いながら経験したばかりである。
これからのリハビリは先のながいものとなると思うが、持ち前の大人としてのおおらかな性格から、あせらないで気長に訓練を続けてもらいたいと願って、部屋を出た。