工場の清掃を17年来して頂いている63歳のベテランおばちゃんがいる。組織上から言えば私の部下になる。毎日午前中だけのパート勤務している地元のおばちゃんである。足の関節が悪く電動自転車で通勤している。
工場は工業団地の山を切り崩して整地したところであるから、勾配があり、出社時の登り道は大変だと思う。そのおばちゃんが「お土産を持って来たから私の自転車の荷篭から持って帰るように」といつもと違って小さな声で言ってくれた。ロッカー室に誰か入っているものと思ってのことである。
事務所の前に自転車が留められてあり、ハンドルの前篭に白いスーパーのビニールの買い物袋に一杯詰まった野菜があった。
キュウリ、茄子、ピーマン等が一杯入っていた。以前にはブロッコリーや白菜を頂いたので、事務所のスタッフにおすそ分けをと思って、声を掛けると、自宅で皆さん野菜園をしておられて、都会とは違って、田圃や畑を持っておられて、自給自足の生活である。そして兼業で仕事に工場勤めをされているのであるから、どれが本業かは分からないが、新鮮な野菜やお米を食べておられることには間違いない。それを羨ましいことであると言ったら、野菜など同じ種類のものが旬には一遍に出来て、毎日同じものが食事に出てきて嫌になるとのことであった。
果たして昨日頂いた野菜もそのような運命かも知れないが、こちらにしては嬉しい限りでいつでも受け入れOKですよ。