毎日の出来事を日常茶飯事として捉えるのか、事件として捉えるのかは受け取る人の感受性にも寄るであろうが、30数年サラリーマン生活を続けてきて、現職もあとわずかで勤続1年を迎えることになる。
現在の会社での出来事は、零細企業では常なることかも知れないが、ハプニングの連続である。機械装置のトラブルによるハプニングや、ヒューマンエラーによるトラブルなど毎日がこうも続くと、確かに感覚は麻痺してくる。
昨日も、私が入社して以来の初の解雇者が出た。業績不振の最中で、リストラ止むなしと、少し前の会議でトップが言っていた。よもや実施することは無く、チラつかせだろうと思っていたが、本当であった。
33歳で9年4ヶ月の、職場の副主任を切った。その理由は、「安全宣言」を宣告して全社一丸となって再建に取り組んでいる折に、自己判断でメーカーの試作品を失敗させ、報告も怠たって、会社に多大な損失と信用失墜させたというものである。一罰百戒の意味もあるのかもしれないが、唐突な感がする。
言葉は汚く、何人と後輩を去らせてきた張本人であるが、悪気は無く人も良い気さくな人間であったので、一面惜しまれもしていた。申し渡された日も、午後から帰って良いと工場トップから指示されたようであるが、タイムカードを打ってからも、それぞれに挨拶するとのことで、午後8時頃まで休憩室にいたそうである。
言ってみれば世渡り下手な、田舎者といわれるような今時珍しい人間である。好き嫌いの分かれる人物には違いが無い。
その彼が、昨日事務手続きに来社した。当方としても、解雇なのか円満退職に持っていった対応なのか、伝わってこない。結局本人も前日の言い渡しでは納得していたようであるが、一晩経って解雇でも良いので、文章でその理由を書いてもらいたいとの申し出であった。結局予告手当てを払って即日解雇としたようであるが、工場のことでもストレートには伝わって来ないので、手の内ようが無い始末である。
法的な問題点も省みず、行き当たりばったりの回答で二転三転することもあるので、なかなか見極めが出来にくいことがある。
しかし解雇をするということは、労働者の働く権利を奪い取るものであり、その家族のことを考えると残酷な仕打ちである。元より、働く者に落ち度があるとは言え、教育や指導監督、注意勧告など一通りのことを行ってきたかが問題となる。ましてその上司や責任者の処遇はどうなのかも問題となる。
今回は一罰百戒で良いかも知れないが、働き易い労働環境で気良く働かせるのも経営者の腕の見せ所であると思うのだが。