暗算と記憶力の凄さを見せつけられる店がある。今時スーパーのレジ係りは商品や価格を覚えこまなくても包装された商品には殆どバーコードが付いており、これをレジの機械にタッチするだけで計算ができてしまう。 時折生物などや特売品で包装できないものは、予めレジ周りに貼り付けているチラシからその価格を入力している。言ってみれば少し操作要領を覚えれば素人でも出来そうである。
先日家内のアッシー君として時折尋ねる国道2号線沿いのJR曽根駅近くの野菜や果物等が昔から店頭に山積みにして商売されている「ふじとよ」に出かけた。そこでの商品のレジは全て暗算である。時折算盤もメモ代わりに使われている。商品名を読み上げてから定価を言い、その数量から加算させている。このためお客が列をなして行くが、先の客の計算と箱詰めを楽しそうに見ている。ここではレジ袋が無く果物や野菜の詰められていた段ボール箱に、篭から読み上げられ計算された商品が入れられていくのである。実にユニークな商売である。
その計算を見ながら、商品の価格を見ると円単位の商品は無く、全て0円である。今日どのスーパーやコンビニでも298円のように300円を少しでも安くしたという意味からの98円の単価の商品が見られるが、ここではそれらの価格は無く、全て丸められた0円単位であり、十桁の数字も5か0である。端数も1個150円であれば3個400円としたりしてまとめ買いをさせているようである。当然消費税は内税である。
このような商いが続いているということは、利益も上げているからである。人件費も馬鹿にならないだろうが、ここまで来ればレジを購入するより、この商売が見世物に変って来る。
それではと、生鮮の野菜や果物以外にも商品を覚えているかと勝手に店の奥に入って、生姜湯の包みがあったので、篭の中に入れてその値段を覚えているかと観察していたが、正解であった。それほど出ていない商品も価格は頭に入っているから、さすがプロであると思った。
私のような数字に弱い者は、この仕事は出来ないと自分で決め付けて、その鮮やかな読み上げ算を眺めていた。